ガーシュイン・禁酒法・ドイツ
- megurin37
- 9月19日
- 読了時間: 4分
by 廻 由美子

2025年10月11日(土)
15:30開演(15:00開場)
B-tech Japan(虎ノ門)
HISASHI(ヴォーカル)
田中信正(ピアノ)
廻 由美子(ピアノ・構成)
〜キャバレー!ガーシュインと禁酒法時代〜
プログラム
ガーシュイン:リアルト・リップレス
John Kander: キャバレー
ガーシュイン: Love is here to stay
クルト・ヴァイル:タンゴ・バラード
F.ホランダー:メリケンからブルース
ガーシュイン:キューバ序曲
ガーシュイン:The man I love
ガーシュイン:「パリのアメリカ人」x「ソング・ブック」
「ガーシュインと禁酒法」のプログラムに、なぜドイツ系クルト・ヴァイルとホランダーが?
クルト・ヴァイルもフレデリック・ホランダーも、1920年代のベルリン音楽シーンで活躍した音楽家たちです。
ヴァイルはブレヒトと組んだ「三文オペラ」で大ヒット、ホランダーはキャバレー・シーンで大活躍。
2人ともユダヤ系でしたので、ナチスが政権を取った後、アメリカに亡命しています。
その2人のソングがガーシュインに挟まれて登場します。
ドイツとアメリカの禁酒法、一見関係ないようですが、これが関係あるのです。
要するに、その頃アメリカで高まった「反ドイツ」という感情ですね。
1915年、イギリスの豪華客船ルシタニア号が、ドイツの潜水艦に撃沈されてしまい、その客船に乗っていたアメリカ人乗客120人以上が犠牲になってしまいました。
それをきっかけとして高まった反ドイツ感情は凄まじく、ドイツの音楽はやらない、ドイツの本は図書館から消える、ビールの醸造テクニックを持ち込んだドイツ系移民は、飲酒事業を手広くやっているから、飲まない、とこうなります。
その反ドイツ感情は、ずっと昔から禁酒法をやりたがっていた人々や、「そろそろ参戦した方が良くない?」と考える政界・財界の追い風となりました。
ということで、1917年にアメリカは参戦するし、1920年に禁酒法は施行されます。
でも、ギャングをパトロンに地下キャバレーが乱立し、シャンパンをポンポン抜いているアメリカと違い、敗戦したドイツは貧困に喘いでいました。
自殺と泥棒と売春の横行する第一次大戦後のベルリンですが、大戦前の「荘厳な」オールド文化に対し、アメリカから入ってくるジャズと、自分たちのストリート・ミュージックと、批判精神が合わさったような音楽を作り出し、独自の文化を築き上げます。
ヴァイルはブレヒトと組んで、当時の世相を皮肉った「三文オペラ」を作曲し、大ヒット。
ホランダーは、「キャバレーとは鉄でできた凶暴な者たちを、洗練された音楽や言葉という、唯一の武器で退治できる戦場」と言ってキャバレー・シーンでグングン!
しかし、その後、ナチスが政権を取り、2人ともアメリカに亡命します。
ヴァイルは亡命後、すぐにニューヨークでガーシュインから「ポギーとベス」のドレス・リハーサルに招待されました。
「なんて素晴らしい国だ!こういう作品が書かれ、上演されるとは!」
「三文オペラ」がナチにバンされたヴァイルは衝撃を受け、こう語りました。
ということで、今回はクルト・ヴァイルとフレデリック・ホランダーを取り上げます。
クルト・ヴァイル:三文オペラより「タンゴ・バラード」
F. ホランダー:メリケンからブルース
なんと、ホランダーの歌詞は、HISASHIが自ら日本語詩をつけました!
ですから題名も「メリケンからブルース」です!
アメリカとは違うサウンド、どうぞお楽しみに!
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伊左治直:小景異情その二、小景異情その六(詩:室生犀星)/リスのしっぽ(詩:柏木麻里)/人生のモットー(詩:エドナ・ヴィンセント・ミレイ 訳詞:伊左治直,
編曲:廻 由美子
HISASHI(vo.)x 廻 由美子(pf.)
フリードリッヒ・ホランダー:cabaret song:「メリケンからブルース」/HISASHI(vo,日本語詞) 廻由美子(arr.pf)
HISASHI(vo) x 廻 由美子(pf)
J.S.バッハ:2台のクラヴィーアのためのコンチェルト ハ長調 BWV1061
田中信正(pf) x 廻 由美子(pf)
2025年9月11日・記 |






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