by 廻 由美子
2024年7月6日(土)シェーンベルク・シリーズ第3段
HISASHI x 廻 由美子〜カバレット!笑いと抵抗の文化・ホランダーと林光〜
満場のお客様の熱気と共に終了いたしました。猛暑の中、ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました!
ジャズ・シンガーとしての活躍はもちろんのこと、高橋悠治などの現代歌曲やポエトリー・リーディングにも取り組んでいるHISASHIさん。
揺るぎない実力としなやかな感性、鋭い美のセンスとユーモア、一度聴いたらトリコになる鬼才ヴォーカリスト。「新しい耳」テッセラ音楽祭には過去3回ご出演いただきましたが、B-techは初めてとなります。
さて、今回はベルリン20年代のアヤシイ煌めき、東京60年代のうらぶれた不良感(こんな言葉はないかもしれないですが)をホランダーと林光の音楽に乗せてお届けしました。
ホランダーの「やっぱりキートン」で勢いよく始まったコンサート、HISASHIさんは歌の途中で「さあさあ」と呼び込み口調を入れるなど、B-techのスタジオは一気にベルリンのキャバレー通り、または大正浪漫の歓楽街に早変わり。
1曲目のあと、廻がHISASHIさんにインタビュー。
廻「ドイツ語の歌詞を日本語にしてこのリズムに乗せるのって大変でした?」
HISASHI「日本語って本当にいろんなリズムあるし、子音の出し方とかもいろいろあるし、楽しいし」
廻「日本語ってこうやって聴くとリズミックでカッコいい!」
タンゴあり、ブルースあり、シミーという速い踊りあり、ホランダーでカバレットを堪能していただいた後は、いよいよ林光の「ソング」です。
芝居小屋風のピアノ・アレンジによる「壁の歌」に始まり、「行ってしまったあんた」「舟唄」「動物園」「祖母の子守うた」「ぐるぐるまわりの歌」「雨に濡れた木馬」7曲それぞれの世界を2人で表現しました。
歌詞もそれぞれ斎藤憐、佐藤信、長谷川四郎、とサスガな詩ばかりで、読むとそれぞれの光景が目の前に浮かんできます。
その幻影を見ながら次々とピアノ・パートのアレンジをしていくのはとても楽しい、かつ不思議な経験でした。
インタビューでは;
HISASHI「林光さんの楽譜はごくシンプルなピアノ・パートが書かれてて、でも一緒に合わせたら全然違うから最初はビックリ!どこで何がくるかわからないし。音も不協和音ブツけてくるし、でもそれが面白くて!」
廻「こういうアレンジで、イメージはこうです〜、って音源送ろうかと思ったけど、いきなりの方が楽しいと思って送らなかった」
曲間に2人でこんなふうにトークしましたが、廻としては、リハーサルでのHISASHIさんの耳の鋭さ、抜群のグルーヴ感、即座にイメージを掴み取って自分の表現にする感性、豊かなアイデア、そのプロフェッショナリズムの凄さにゾクゾクワクワクの連続だったのです。
「ねむれよ、わるい子」で終わる「雨に濡れた木馬」。HISASHIさんは「おやすみなさい」と囁き、カバレット劇場は幕を閉じました。
「新しい耳」2024シェーンベルク劇場、まだまだ続きます!
廻 由美子
2024年7月10日・記
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