by 廻 由美子

2025年10月11日(土)
15:30開演(15:00開場)
B-tech Japan(虎ノ門)
HISASHI(ヴォーカル)
田中信正(ピアノ)
廻 由美子(ピアノ・構成)
〜キャバレー!ガーシュインと禁酒法時代〜
プログラム
ガーシュイン:リアルト・リップレス
John Kander: キャバレー
ガーシュイン: Love is here to stay
クルト・ヴァイル&F.ホランダー:キャバレー・ソング
ガーシュイン:キューバ序曲
ガーシュイン:The man I love
ガーシュイン:「パリのアメリカ人」x「ソング・ブック」
今日はプログラムの「パリのアメリカ人」x「ソング・ブック」についてお話ししたいと思います。
ジョージ・ガーシュインはパリを何度か訪れています。
1923年、26年に少し滞在して、28年にはパリを含むヨーロッパに3ヶ月ほど滞在していたようですね。
1920年代のパリは、それこそ芸術の都、といった趣で、コクトー、ストラヴィンスキー、ディアギレフ、ピカソ、など、目も眩むばかりの天才たちが集まっていました。
キャバレー・シーンも盛り上がっていて、有名なムーラン・ルージュ、リド、クレイジー・ホースなどで繰り広げられる、眩いばかりの華麗なショウ!
芸術家たちが夜な夜な訪れ、飲み、語り、踊り、いろいろお楽しみもあり、「ス’ワンダフル」なパリ!
とくれば、ガーシュインだって行きたいですよね。
なにしろその頃のアメリカは、禁酒法の時代です。
ギャングの経営する地下キャバレーは大繁盛でしたが、もっと普通に、オープン・カフェでビールやワインを飲みたいですよね。
というわけでガーシュインは「観光と、ビールを飲みに」と称してパリへ向かいます。
もちろん最先端の作曲家たちと会うことで刺激を得るのも大目的だったのはいうまでもありませんが。
モーリス・ラヴェルに会ったのは有名な話ですね。
ガーシュイン:ラヴェルさん、あなたと勉強したい!
ラヴェル:僕と勉強しても2流のラヴェルになるだけだよ。一流のガーシュインになりなさい。
おかげでガーシュインは最後までガーシュインでした。
でもアメリカの批評家たちはガーシュインに相当冷たく、「フン!あいつ、アカデミックな教育受けてないし」、という感じで酷評するか、ムシするか、という感じの悪さでした。
1928年に行われた「パリのアメリカ人」初演も、聴衆は熱狂しましたが、批評家たちからは大不評。「凡庸」「純粋音楽じゃない」と。
こうなると、意地でも認めないぞ、という「気概」すら感じます。
そんな彼らにはわからなかったかもしれませんが、この曲の魅力は、題名の通り、「アメリカン」の面白さです。そこがガーシュインのスゴイところで、批評家にウケないところ。
やたらに「パリ風」「フランス風」「ヨーロッパ風」にしないのです。
もちろんパリの散歩、可愛いパリジェンヌ、笑い声、クラクションの音、など「まんま」が出てきます。
でも、パリは素敵でも、自分はアメリカンさ。
散歩しても歩道でコケる、クラクションに驚く、すれ違う人は笑ってる、寂しくてブルーになったりもするけど、「やっぱり僕はアメリカン」とばかりにチャールストンを踊って大騒ぎをする。
どこに行っても自分のアイデンティティを失わないガーシュイン。
というわけで今回の「パリアメ」は
「パリのアメリカ人」X「ソング・ブック」で彼の真骨頂をお届けします!
曲中に登場するガーシュインのヒット・ナンバーは
「S'Wonderful」
「Summertime」
「Strike up the Band」
「I got Rtythm」
さあ、どんな風になるでしょう!
どうぞお楽しみに!
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