寺嶋陸也 公演 プログラム・ノート
- megurin37
- 4月30日
- 読了時間: 3分
寺嶋陸也ピアノ・ソロ〜２０年代の400年〜
プログラム・ノート公開
2025年5月10日（土）15:30 開演（15:00開場）
会場：B-tech Japan 東京スタジオ（港区虎ノ門１−１−３磯村ビル１F）
S.シャイト：イギリスの運命の女神の歌（1624出版）
F.クープラン：クラヴサン曲集 第３巻 第13オルドル（1722）
１ 百合の花ひらく
２ 葦
３ 胸飾りのリボン
４ フランス人気質、またはドミノ （仮面舞踏会の頭巾）
純潔〜見通せない色のドミノの中に
恥じらい〜ばら色のドミノの中に
情熱〜トキ色のドミノの中に
希望〜緑色のドミノの中に
誠実〜空色のドミノの中に
忍耐〜灰色のドミノの中に
恋やつれ〜紫色のドミノの中に
媚〜色とりどりのドミノの中に
年老いた伊達男と時代遅れの守銭奴〜緋色と枯葉色のドミノの中に
気の良いカッコウ〜黄色のドミノの中に
無言の嫉妬〜モーロ風の灰色のドミノの中に
狂乱、または絶望〜黒いドミノの中に
５ 煉獄の魂
L.V.ベートーヴェン：６つのバガテル Op.126(1823-24)
1.ト長調 2.ト短調 3.変ホ長調 4.ロ短調 5.ト長調 6.変ホ長調
F.シューベルト：12のレントラー D790 Op171(1823)
D.ショスタコーヴィチ：アフォリズム Op.13(1927)
1.レチタティーヴォ 2.セレナード 3.夜想曲 4.エレジー 5.葬送行進曲
6.エチュード 7.死の舞踏 8.カノン 9.伝説 10.子守歌
寺嶋陸也：瞑想曲~西村朗追悼(2024)
＜プログラム・ノート＞
S.シャイト（1587-1654）：イギリスの運命の女神の歌（1624出版）
“Fortune my foe” 運命よ、我が敵よ、というエリザベス朝の古い歌をベースに、４つの変奏曲が書かれています。人気の歌で、シェイクスピアの劇中でも歌われたようですが、シャイトは彼の作曲法を駆使して、内的熱量の高い作品に仕立て上げました。
F.クープラン（1668-1733）：クラヴサン曲集 第３巻 第13オルドル（1722）
香水と脂粉の匂い、ドレスと宝石の煌めきと同時に、権力闘争と嫉妬の渦巻くベルサイユ宮殿で「王のオルガニスト」として君臨したフランソワ・クープラン。
彼の書くクラヴサン曲は、レースの袖飾りや白い指が美しく舞う様子が見えるようです。この組曲の題名にたくさん出てくる「ドミノ」と言う名称は、仮面舞踏会の時に顔の上半分を隠すマスクのことです。仮面と仮面で恋や陰謀を囁き合うわけですね。
L.v.ベートーヴェン（1770-1827）：６つのバガテル Op.126（1823）
宮廷での会話からいきなり「討論の場」へ。「バガテル」とは「些細なこと」と言う意味ですが、どんな些細なことも見逃さず、語り合い、討論し、笑い、怒るベートーヴェンの気質が随所に現れています。
F.シューベルト(1797-1828)：12のレントラー D790 Op.171(1823)
レントラーは南ドイツやオーストリアの踊りで、元々民衆の踊りです。だいたい踊りは民衆のものですね。抑圧のウィーン体制時代、辛い労働の合間に、男女でペアになって旋回して踊る、これ無くしてはとても仕事なんか続けてられません。
クープランの優雅さとは違う、土の香りの優雅さに満ちています。
D.ショスタコーヴィチ（1906-1975）：アフォリズム Op.13(1927)
若いショスタコーヴィチの鋭い小品集。各自がそれぞれ関係ないことを喋っているようなポリフォニーの面白さは、ショスタコーヴィチならでは。そして低い声、笑い声、恐ろしい声を自在に操り、影や悪魔を呼び出す術は、大道芸に近いものを感じます。
寺嶋陸也：瞑想曲~西村朗追悼
「2023年9月に亡くなった作曲家、西村朗さんを追悼して作曲し「川上村ミュージックセミナ−2024」のコンサートで初演した。西村さんとは毎年このセミナーでご一緒して、たくさんの酒とともに、ときには共感し、ときには反発も感じながらたくさんの話をきいた。（寺嶋陸也）」
2025年4月24日・記
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