山田剛史・公演レポート
- 7 分前
- 読了時間: 4分
by 廻 由美子

【新しい耳】@B-tech Japan 2026
〜モダン・タイムス〜
スタートいたしました!
3月1日、山田剛史さんによる〜響きの鏡〜と題したピアノ・ソロで、「モダン・タイムス」シリーズ、開幕いたしました!
ご来場の皆さま、ありがとうございました。
今回は、素晴らしかった公演のレポートです。
まずは改めてプログラムをご覧ください。
山田剛史 (ピアノ)
〜響きの鏡〜
反転し、呼応する音。
バッハとヒンデミット、2つの時代の音が反射し、戯れ、お互いを映し出す。
J.S.バッハ :イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971 (1735)
P.ヒンデミット :ピアノ音楽 Op.37 第1部 「練習曲:3つの小品」(1925)
P.ヒンデミット : ルードゥス・トナリス(音の戯れ) (1942)
ブラック・アンド・ホワイトのシャツ、お揃い生地のネクタイがついていて、とてもオシャレな装いで、爽やかに山田剛史さん登場。
颯爽とスタートしたバッハの「イタリア協奏曲」。
スリリングなバッハ演奏がベーゼンドルファー・インペリアルによって羽のように広がっていきます。
ワクワクと聴いていたらアッという間にバッハが終わり、少しトーク。
廻「バッハって『工具』をギッシリ詰めたカバンを持ってて、それをブチ撒けて組み立てて作った感じがヒンデミットと似てる気がするんですけど。」
山田「ウンウン、2人ともギッシリ感がありますよね。『工具』をオモチャにして相当遊んでますね。」
大マジメに捉えられがちなバッハの楽しい像が浮かび上がって来るようでした。
そして次はヒンデミットの「ピアノ音楽」(1925)
第一次世界大戦に負け、それまでの価値観が180度ひっくり返ったドイツ、まさにそのドイツの「時代の音」が、会場に鳴り響きました。
反乱、飢餓、自殺、殺人、売春。
そんな時代をヒシヒシと感じる山田剛史さんの演奏でした。ヒンデミットの音楽は、まさに時代と共にあり、前の時代を破壊する音と新しい時代を創造する音が同時に鳴り響き、まるでその時代のドイツの街中に放り込まれたようでした。
そして、いよいよヒンデミットの大作「ルードゥス・トナリス」です。
これは1942年、亡命先のアメリカで書かれています。
山田さんは演奏前に作品の「構造」や「遊び部分」など、音をまじえながら解説してくださり、聴きやすい雰囲気を作ってくださいました。
さあ、いよいよ演奏!
シュッ!と一瞬心身を整え、あくまでも自然体で50分もの大作に飛び込んだ山田剛史さん。
ヒンデミットが書いた音を具現化し、立体化し、まさに作曲家と「共作」しながら進んでいく山田さんには「演奏家自我」のヒトカケラもなく、そこには作品と手を取り合ってひたすら奥深くに進んでいく真摯な姿がありました。
曲が進むにつれ、強靭な音楽の中に、ヒンデミットの孤独が、悲しさが現れ、作曲家本人が感情を表すことを望まないとしても、音は正直にそれを表してしまうのだなあ、と音楽の不思議に触れた思いでした。
曲の最後、全部をフッ切るような協和音で時間を断ち切り、スッと立ち上がった山田剛史さんに、時空を共有した聴き手の、心からの拍手が長く、長く送られました。
終演後、何人ものお客様が「これはナマでないと味わえない凄さ!」と異口同音に仰ってくださいました。
山田剛史さん、素晴らしい演奏を、本当にありがとうございました!!
「モダン・タイムス」シリーズはどんどん続きます!
次回、2026年4月25日(土)は15:30より
谷口知聡〜輝く迷宮〜
です。お楽しみに!
関連ブログ
2026年3月4日・記 |




コメント