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アジアを繋ぐ次世代とは?

  • megurin37
  • 5月11日
  • 読了時間: 5分

by 廻 由美子


寺嶋陸也さんの公演、盛況のうちに終了いたしました!

公演ノートは後日配信いたします!

さて、7月の公演のご案内です。

2025年 7/20(日)15:30開演(15:00開場)

曺佳愛(チョウ・カエ・pf)

〜アジアを繋ぐ次世代2020s〜

ウンスク・チン:Six Piano Etudes No.1“ In C ”(1999)

尹伊桑:Interludium A for Piano (1982)

戸島美喜夫 :ヴェトナムの子守唄 (1980)

高橋悠治:光州1980年5月 ~倒れた者への祈祷~ (1980)

Hope Lee:entends, entends la passé qui marche...(1992)



曺佳愛(ピアノ)Kae Cho


桐朋学園大学 ピアノ科を卒業し、現在 同大学院修士課程1年に在学中。

第24回 万里の長城杯国際音楽コンクール ピアノ部門 第3位。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクールin Tokyo2023 Special mention賞の受賞をはじめ、

これまで多数の賞を受賞。2022年に桐朋学園大学”春のオープンキャンパス”に出演。同年より、世界の社会問題と関連するチャリティーコンサートを始め、各種演奏会を年に数回主宰及び出演し、これまで動員数300名以上をもたらした。調布国際音楽祭2023に出演。各地音楽祭に、ピアノクインテット(ピアノ五重奏)のメンバーとして出演。現在東京を拠点にソロ、室内楽、現代音楽のアンサンブルや演奏、

また音楽解説(プログラムノート)の執筆など、多岐にわたる活動を行う。

2024年度 韓国教育財団奨学生。これまで、ヴィクトア・トイフルマイヤー、ウラジミール・トロップの各氏のセミナーを受講。現在、廻 由美子氏に師事。

ール・トロップの各氏のセミナーを受講。現在、廻 由美子氏に師事。



曺佳愛さんは韓国にルーツを持ち、日本と韓国双方の文化と教育の中で育ちました。

さて、上記のプログラムには、アジア系の作曲家が並んでいます!

ウンスク・チンと尹伊桑(ユン・イサン)韓国戸島美喜夫高橋悠治は日本、そしてHope Lee台湾=カナダです。

アジアには実に豊かな音楽風土があり、微妙に変化する様々な音階があり、色とりどりの声でうたわれる歌があり、言葉や作業や踊りや、要するに身振り全般からくる多彩なリズムがあり、そして無限とも思われる種類の楽器があります。

アジア諸国の「現代音楽」と呼ばれる数々の作品は、その色彩豊かな風土、文化、歴史、そして、祖先たちの記憶を内包しています。

今回登場する曺佳愛(チョウ・カエ)さんは、まだまだ若い20代。桐朋学園大学音楽学部の大学院で学んでいます。

大学時代からアジアの作品に興味もち、あれこれ探るうちに、ごく自然にアジアの歴史も深掘りするようになりました。

そんな中で選んだのが今回のプログラムです。

1980年代、そして90年代の作品が並びます。2020年代に20代という曺さんは、その時代の作品をどう見ているのでしょう。

まずは、「80年代」というものについて曺佳愛さんが文章を寄せてくれました。

どうぞお読みください。


〜アジアを繋ぐ次世代〜

by 曺佳愛 (チョウ・カエ)

 

21世紀を生きる私にとって、いま響いている音楽の多くは「同時代の音楽」であり、私はその空気を共有しながら生きている。

 

同じ時代の感覚を持つ者として、私は今、この音楽をどう聴き、どのように受け取っているのかを自分の視点から語り、音として紡いでいきたい。

 

「1980年」という時間

 

1980年とは、世界にとってどのような時代だったのだろうか。

第二次世界大戦の終結からすでに30年以上が経っていたが、人々の身体と心にはまだ深い傷跡が残されていた。地球全体が悲鳴を上げるような出来事も数多くあり、その記憶は個人の魂に、そして社会の基層に刻み込まれている。

 

たとえ時代が移り、21世紀に入り社会が新たな発展を遂げたとしても、自然——風、水、大地、空気——には、私たちが忘れてしまいがちな記憶が残されている。それらは人間の営みと分かちがたく結びつき、文化的アイデンティティとして、今なお現代に影響を与え続けている。


音楽もまた、例外ではない。

 

過去に起きた事実や歴史は、人々の身体を通して響きとして再生され、作品として遺されてきた。私は、21世紀を生きる演奏家として、現代の音楽を「いま」の感覚で読み解き、演奏することで、そこに潜む記憶や思念を伝えたい。

 

1980年は、私の生まれる約20年前の時代である。だが、楽譜を前にすると、その行間から、当時の風景や社会の息遣いが、熱を持って迫ってくることがある。それはおそらく、時代的な距離の近さに起因する感覚だろう。そこに記された音たちは、単なる記号ではなく、言葉以上に雄弁なエネルギーとして現れ、私に強く訴えかけてくる。

 

このプログラムを通して、私は「同世代の視点」で音楽を奏でていく。

 

時代を越えて響く声に耳を澄ませながら、21世紀のいま、私たちはどのように過去と向き合い、どのような未来を紡いでいけるのか。そんな問いを胸に、ピアノの前に座る。



心に響く素敵な文章ですね。 

 

歴史の教科書ではなかなか伝わってこない様々なこと、それを伝えてくれるのが芸術なのではないでしょうか。

 

その「芸術」の中でも音楽は抽象性が高く、時には何を言っているのかわからないこともあります。

 

でも、音楽には歴史の大きな流れから、人々の日々の暮らしまで、流行り廃りから永遠性まで、過去から現在、そして未来まで、すべて入っているので、本当に宇宙のようです。

 

曺佳愛(チョウ・カエ)さんは、ひとつひとつの作品についても文章を寄せてくれました。

メルマガで随時紹介していきますのでお楽しみに。

 

なかなか聴く機会のないアジアン・コンポーザーの作品、どうぞお聴きのがしなく!

 

2025年5月8日・記


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