松﨑 愛〜光への帰還2,シュルホフ〜
by 廻 由美子

【新しい耳】@B-tech Japan 2026
〜モダン・タイムス〜第5弾!
2026年10月11日(日)15:30開演(15:00開場)
松﨑 愛(ピアノ)
〜光への帰還〜
E.シュルホフ:ホット・ミュージックWV92(1928)
P.ヒンデミット:組曲「1922年」op.26(1922)
G.リゲティ:ムジカ・リチェルカータ(1951)
秋の風も感じられるようになりました。
10月11日(日)は、松﨑愛さんのピアノ・ソロとなりますが、ご覧のように大変意欲的なプログラムです。
「意欲的!」「素敵!」と思う反面、「え?E.シュルホフって誰?」「ヒンデミットってよくわかんないけど」「リゲティ?エチュードの人?」
というお声もあるかもしれません。
では、まずお一人ずつご紹介いたしましょう。
今回は、その中でも1番耳に馴染みがないかもしれない、E.シュルホフについてです。
E.シュルホフ(エルヴィン・シュルホフ)は1894年に生まれたチェコの作曲家です。
バルトークよりも13歳くらい下になりますね。同時代人にはクルト・ヴァイルやハンス・アイスラーがいます。
ちなみに同じ1894年に、「カルミナ・ブラーナ」で有名なカール・オルフが生まれています。
オルフの方は1936年、ナチス政権下でのベルリン・オリンピックで、開会式の大規模な集団ダンスのための音楽を作り、大きな成功を収めたと言われています。
かたやユダヤ人であり、アヴァンギャルドな音楽家であったシュルホフはナチスから「退廃音楽」の烙印を押されてしまい、ジャズ・ピアノを弾いたりしながら耐え忍び、最後にはホロコーストの犠牲者になってしまいました。
さて、ジャズ・ピアノを弾いていた、と書きましたが、シュルホフは驚異的な技術を持つ優れたジャズ・ピアニストでもありましたし、彼の、特に1920年代の作風は、ジャズからたくさんの影響を受けています。
ジャズを、ドイツの伝統を破壊する「退廃音楽」とみなし、弾圧したナチス政権ですから、ナチス政権下になると、もちろんシュルホフは「退廃音楽家」のレッテルを貼られました。
今回演奏される「ホット・ミュージック」も、ナチスが「見てろよ、政権を取ったら潰してやるぞ」と憎悪していたジャズを、実に生き生きと取り入れています。
第一次世界大戦前は、いわゆるクラシック音楽の教育を受けたシュルホフですが、1920年代に入り、ジャズが怒涛のように押し寄せてきたとき、「自分の求めていたのはこれだ!」と思ったに違いありません。1920年代の彼の作風は、ジャズ一色と言っても過言ではないでしょう。
その時代のジャズ・ピアニストというと、左手がブンチャッ、ブンチャッと跳躍する「ストライド奏法」が全盛で、ファッツ・ウォーラー(Fats Waller)、ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)、もちろんジョージ・ガーシュインなど、驚異的に弾けるツワモノが揃っていましたので、勢いシュルホフの「ジャズ・ナンバー」も驚異的に難しくなります。
この驚異的な難曲。しかし聴いていると楽しい。
でもガーシュインと違って、どこかトゲがある。
妖しい官能がある。
強いお酒を飲んだような目眩く感覚がある。
そんなシュルホフの「ホット・ミュージック」に松﨑愛さんが挑戦します。
どうぞお楽しみに!
関連ブログ 松﨑愛〜光への帰還〜
松﨑 愛(ピアノ) Ai Matsuzaki
桐朋学園大学ピアノ専攻卒業、副専攻として音楽学専攻修了。同大学大学院音楽研究科修士課程、博士後期課程修了。博士(音楽)。
主に1920年代のベルリンで生まれた音楽を専門とする。
2023-2025年度福島育英会奨学生。
2026年9月4日・記 |



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