by 廻 由紀子
前回のブログ「ツェムリンスキーxジャズ」はこちら。
というわけで、前回お話ししたハーレム・ルネサンスの詩人たちに共感したツェムリンスキーは、それを歌詞にして歌曲を書きました。
今回は詩の内容を見ていきましょう。
A.ツェムリンスキー:12の歌曲 作品27より8番〜12番(1937〜38)
第8曲、第9曲です。(第7曲もそうですが、それはまた別の機会に)
第8曲:詩:クロード・マッケイ/Claude McKay(1889-1948)
「ハーレム・ダンサー/Harlem Tänzerin」
<歌詞大意>
半裸の気高い身体をくねらせると、娼婦も男どもも大喝采
彼女の声は、ピクニックで聞こえてくるフルートのよう
優雅に踊るその身体は、薄い紗では隠しきれない
彼女は嵐に耐え、誇らしく伸びたヤシの木のよう
彼女の輝く髪よ、黒光りする首筋よ
賞賛のコインが投げられ、娼婦たちは彼女を貪るように見つめる
彼女は虚空に向かって微笑む
ひとりだけ、ここではない何処かにいるのだ
美しい肉体を惜しげもなく放り出し、貪欲な眼差しにさらされる黒人のダンサー。
でも、その姿は誇り高く、大自然のよう。
魂を売り渡さない彼女は気高く美しく、コインを投げるヤツラの方がよほど汚く見えますね。
第9曲:詩:ラングストン・ヒューズ・Langston Hughes(1901-1967)
「アフリカの踊り/Afrikabischer Tanz」
<歌詞大意>
トムトムを打つ音が、
低く、ゆったりとした音が
ゆったりと、低く・・・
お前の血を騒がせる
ダンスだ!
夜の少女がしなやかに旋回する
低く、執拗に聞こえるトムトムの音。外から聞こえるのではなく、身体の中で打つ音のように感じます。
霊的な響きを持つ元々の詩に対し、ドイツ語になるとトムトムが激しく躍動しているようで、ツェムリンスキーの音楽も激しく躍動しています。
今回は第8、9曲の<歌詞大意>でしたが、他の歌も追ってご紹介していきますのでお楽しみに!
廻 由美子
2024年9月6日・記
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