top of page

mimi-cafe

​更新履歴

Oct 09, 2018

インタビュー更新

音楽祭の主宰者、廻 由美子が第23回、第3夜の聴きどころを語る!

(インタビューア・新しい耳実行委員会、以下耳)

を掲載しました!(クリックして読む)

Sep 01, 2018

インタビュー更新

音楽祭の主宰者、廻 由美子が第23回、第2夜の聴きどころを語る!

(インタビューア・新しい耳実行委員会、以下耳)

を掲載しました!(クリックして読む)

1 / 1

Please reload

interview

音楽祭の主宰者、廻 由美子が第23回、第2夜の聴きどころを語る!
(インタビューア・新しい耳実行委員会、以下耳)


耳:第2夜は音楽祭にとっておなじみのアーティストですね。
廻:クラシック・アコーディオンのシュテファン・フッソングと廻のデュオは、
  今回で4度目になります。

 


耳:フッソングさんとはずっとデュオを組んでいるのですか?
廻:デュオを組んでからなんともう10年目になり、自分たちでも驚いています
  が。通常はフッソングはドイツに住んでいるので早々頻繁にはできません
  が、日本の他にドイツ、イタリア、カナダ、台湾などで演奏やレコーディ
  ングをしました。今年の9月もカナダでコンサートとレコーディングです。

 


耳:今回のプログラム、またいつもと違う雰囲気ですね。
廻:はい、フッソングがジョン・ケージのCDも出しているし、ケージを
  大好きなので、前半のプログラムに入れました。そしてケージと親交のあ
  った一柳慧先生とモーツアルトでケージを囲んだ形ですね。

 

 

耳:ケージというとあまりにアヴァンギャルドなイメージが。
廻:いえいえ、今回聴いてみてください。アコーディオン・ソロの「ドリーム
  」は、胸が痛くなるような美しさですし、私の弾くピアノ曲「3つのやさ
  しい小品」は(あ、チラシには載っていませんが、弾きます)本当に初期
  で、オモチャみたいな曲ですが、なんでこんなに音が綺麗なのか、ナゾで
  す。この曲はちょっと工夫しようと思ってます。

 


耳:工夫?
廻:ナイショです(笑)

 


耳:そうですかあ、、。
  Elena Mendozaという作曲家の曲もありますね。
廻:フッソングが初演した曲です。私も初めてですが、フッソングがカナダで
  も弾くのでしっかり聴いてきます!

 


耳:よろしくお願いします。後半はショスタコーヴィチから始まりますね。お
  二人でこの作曲家を弾くのは初めてではありませんか?

廻:初めてですね。でもお互いドストエフスキーが大好きなので、ショスタコ
  ーヴィチについても感覚が合うんですね。悲劇かと思えば喜劇で、またそ
  の反対もあり、でももの凄いスピードであちこち動きながら真理に向かっ
  ているような美しさがあって。

 


耳:なるほど、ドストエフスキーですか。
  そしてピアソラですね。ピアノソロの曲もピアソラ。
廻:ピアノソロではピアソラの「オブリヴィオン」ですが、今からアレンジで
  す!

 


耳:わ、そうなんですね!
廻:そのソロの後に最後にデュオで「バレエ・タンゴ」。寺嶋陸也さんが2台
  のアコーディオンのために編曲したものを、ピアノとアコーディオンでやり
  ます。ブエノスアイレスの喧騒、喧嘩、孤独、愛憎、など、まさにタンゴ
  の世界。タンゴは「どう生きるか」「どう愛するか」「どう死ぬか」という
  哲学そのものですからね。

 

 

耳:今までもピアソラはよくやられていますね。
廻:2人とも、ピアソラは「血湧き肉躍る」けれども決してベタベタにならず
  に、ってスタンスです。「厳しい自由」、「絶望的なほどの生命力」、とい
  う表現が大切だと思います。

 

 

耳:なるほど!楽しみにしています!

interview01

interview

音楽祭の主宰者、廻 由美子が第23回、第1夜の聴きどころを語る!
(インタビューア・新しい耳実行委員会、以下耳)

耳:今回、第1夜に新しいアーティストが登場ですね。

廻:はい。若い演奏家たちで、チェリストのマルモ・ササキさんとコントラバス奏者の高杉健人さんです。

耳:お二人について少しご説明を。

廻:マルモ・ササキさんは、イタリア生まれ、パドヴァでお育ちになっています。
  今はベルリンを拠点に活躍するチェリストで、本当に大らかで明るい音楽で、私は10      年ほど前にご一緒したことがあり、それ以来すっかりファンになっています。

耳:会場にイタリアの風が吹きそうですね。

廻:そうなんですよ。オペラが日常にあるので、どんな現代曲を弾いても歌が聴こえてき        ます。技術はものすごくあるのですが、それが表立って聴こえなくて、歌が聴こえて        きます。しかも、パキッとした勇気ある歌です。

耳:勇気ある歌!それはとても素敵ですね。コントラバスの高杉さんは?

廻:マルモさんご自身が、「高杉さんとは本当に親戚か兄妹みたい」と言うくらいで、昔        からよく知ってる仲間なんですね。
  高杉さんは本当に色々なジャンルに挑戦していらっしゃるミュージシャンで、クラシ        ックをベースにしながら、あらゆるジャンルで引っ張りだこです。
  今回、至近距離で聴けるのがとても楽しみです。ベースの音って何と言ってもカッコ        いいですからね。お腹に響いてきますし。

耳:チェロとベースのデュオを至近距離で聴いたら身体も心も振動しそうですね。

廻:本当に楽しみです。プログラムがまた楽しいんですよ。

耳:プログラムについて少しご説明いただけますか?

廻:まずマルモさんの弾くチェロ独奏曲、杉山洋一:「ベルリンのコラール」ですが、杉山さんは桐朋を出られた後、イタリアのミラノに活動の拠点を置いて作曲や指揮で目覚ましい活躍をされています。マルモさんとはイタリアつながりですが、今回初めての顔合わせです。バッハのコラールからインスピレーションを得た作品で、私も楽譜を拝見させていただきましたが、いや、これは素晴らしい!早く聴きたいです。他にイタリアのソッリマという人のチェロ・ソロもやはりイタリアつながりですね。

耳:シュニトケの「賛歌第2番」という曲は?

廻:彼はロシアの作曲家ですが、1998年にドイツで亡くなっています。この曲には、ロシア文学に出てきそうな美しいような恐ろしいような低音、民族楽器のような音、教会の鐘、祈り、嘆き、全てが途方も無いスケール感で詰まっています。これはぜひ演奏していただきたかった曲です。

 

 

耳:それは楽しみですね!

廻:他にも高杉さんのコントラバス・ソロでテッポ・ハウタ=アホ(Teppo Hauta-Aho)という人の作品も面白いです。この人は1941年生まれのフィンランドのジャズ・ベーシストで、今でもフリージャズで活躍するミュージシャンですね。セシル・テイラーともプレイしています。作曲家でもあり、この「カデンツア」は特に有名です。クラシック奏者としても作曲家としてもオーガナイザーとしても、もちろんジャズ・ミュージシャンとしても尊敬されている人ですよ。

耳:幅広い芸術家なのですね。

廻:はい。この音楽祭にピッタリの作曲家です。その他ピアソラの「アディオス・ノニーノ」をデュオで、というのも珍しく、楽しみです。
 
耳:いかにも若々しいプログラムで、盛りだくさんで楽しそうですね。

廻:マルモさんと最初プログラムについて打ち合わせした時に、「ジャンルは関係ありません。『良い音楽』をお願いします」と言いましたら、このように素敵なプログラムを組んでくださいました。

耳:新しい耳の新しいミュージシャンによる新しいプログラムですね!   
  楽しみにしています。

 

interview02

interview

音楽祭の主宰者、廻 由美子が第23回、第3夜の聴きどころを語る!
(インタビューア・新しい耳実行委員会、以下耳)

耳:さて、第3夜は高橋悠治さんですね。
廻:ハイ、高橋悠治さんは第3回目からずーっと毎秋お願いしていて、今回で11回目のご    出演なんですよ。

 


耳:11回目!それはすごい。
廻:2008年に出ていただいて以来、毎回しつこくお願いしています。

 


耳:廻さんは高橋悠治さんの大ファンなわけですね。

廻:もうそれは、私が桐朋の音楽高校に通っていた頃からの憧れの大先輩です。

 


耳:どこに一番惹かれたのでしょう。
廻:著作もたくさん読んでいましたから。音楽家としてのブレなさというか、いさぎよく

  て、鋭くて、ものすごく自由でしなやかな思考、本質を見極める鋭い感性、もう、一

  行ごとに目からウロコでした。
 

耳:演奏会では?
廻:もうビックリ。猫みたいに出てきて、クニャッとピアノの前に座って、身体の中から

  音楽の動きをそのまま取り出して空気に投げてる、その媒体としてピアノという楽器

  がある、という感じでした。こっちは何しろ「難しい曲を弾くこと」に固執している

  オバカですからね。舞台から「そんな風に弾いて、バカだねえ」と言われたような気

  がしました。そしてその通りでした。追っかけしながら毎回自分のオバカさを確認し

  ていましたね。
 

耳:深く聞くと大変そうなので、ゲストのジュリア・スーさんについてお願いします。
廻:今回、本当に美しい音楽家の輪なんです。ジュリアはアメリカでピーター・ゼルキン

  とデュオを組んでいて、2人は2016年に行われた武満徹さんのメモリアル・コンサー

  トに来日して2台ピアノとオーケストラの作品をやるはずでした。ところがピータ

  ー・ゼルキンが病気になり、自分の代わりを信頼する高橋悠治にお願いした。それで

  高橋悠治はジュリア・スーと初めて共演したのです。そして指揮者はオリバー・ナッ

  センでした。

耳:なるほど、武満徹、オリバー・ナッセン、ピーター・ゼルキン、高橋悠治、ジュリ

  ア・スーの輪ができましたね。
廻:はい。そこで私も初めてジュリアをきき、素晴らしいな、と思っていたら、昨年の秋

  の音楽祭に悠治さんがジュリアを呼びたいと言って。
 

耳:そうそう、去年もジュリアが弾いてくれましたね。
廻:初めて聴くジュリアの音楽に立ち上がれなくなった人もいたくらいです。彼女は台湾

  人なのですが、骨太なインテリジェンス、台湾の原始的な海のようなスケール感、厳

  しさと優しさ、そして東洋人のキメの細かさ、文学的神秘性があって、昨今あちこち

  で見かける「バリバリ弾ける売り出し中のアジア人音楽家」とは全く違いますね。も

  のすごく弾けることには違いないですが、表にそれが全く出ません。悠治さんもジュ

  リアを音楽家としてとても信頼しています。

 


耳:今回、曲目が変更になったのですね。
廻:ああ、それは、さっき言った音楽家たちの輪の一人、オリバー・ナッセンが今年7月に

  亡くなり、高橋悠治もジュリア・スーもすぐに「オリバーに追悼の演奏をしたい」と

  言ってきました。それで、チラシには間に合いませんでしたが、2人ともオリバー・

  ナッセンのソロ曲を弾きます。
 

耳:ジュリア・スーは武満徹の曲も弾きますね。
廻:彼女は武満に直接会った世代ではないでしょうが、「輪」の人たちから武満の音楽を

  引き継いでいる。音楽家たちの輪は、永遠ですからね。

interview03
bottom of page